マルサの女
カプコン
1989.9.19発売
1989 ©イーティー/CAPCOM
父がはまり、テレビから火花が出て壊れた
伊丹十三氏の同名映画のゲーム化作品。私が小学校低学年だったころ、父がこのゲームにはまって何時間もプレーしていた。当時小学生だった自分には、画面を見ても、延々とオフィスの光景や、やけにリアルな中年親父の顔が大画面に映る退屈なゲームにしか思えなかった。
ある日、事件は起きた。いつものように、『マルサの女』をプレーする父。だが、なぜか画面の映りが悪い。さらに、雑音もかなり出ていた。どうやらテレビ本体が老朽化でガタがきており、壊れる寸前のようだ。
父「今日はテレビの映りが悪いなぁ。」 私「そうだね。電波が悪いのかな?(※いま考えれば、ファミコンなのだからそんなはずはない!!)」
それでもゲームを続ける父。やがてテレビから火花が散る音がして、テレビの電源が切れた。ついに、テレビが完全に壊れたのだった。幸いにして、ファミコンやその他の電子機器には被害は無かったが、それ以来父はあまりゲームをしなくなり、このソフトもしばらく葬り去られていた。
私が中学生になってから、再びこのソフトを取り出してやってみたのだが、最初から行き詰まってしまった。最初のコマンドで、「その他」→「なおす」→「ねぐせ」を選択しないと話が進まない。ねぐせを直さなければ、移動することも、話すことも、もちろんゲームのメインである税務調査に出ることもできないのである。
その時の印象は、「訳が分からないゲーム」。その後、またしばらくこのゲームは忘れ去られた。
最近になって、ファミコンが懐かしくなり、再びゲームを取り出した。そして思った。「これは面白い!!」テレビが壊れるまでにはまった父の気持ちが、10年以上経って、やっと分かった気がした。
寄稿:キッシー 男 1985年生 茨城育ち 大学生
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