ファイナル違い

　季節は12月。小学校の終業式が終わって冬休みに入り、クリスマスも終わった。当時クラスの人気者だったＨ君の家で遊ぶことになり、仲良しの友だち全員が集合。

　「クリスマスのプレゼント何をもらった？」という話題になったとき、事件は起こった。「Ｈ君はサンタさんに何もらったの？」と尋ねると「ゲーム……」と答えた。なぜかその声は凄く小さかった。

　そのとき友だちのひとりが、「そういやぁＨくんは『ファイナルファンタジーII』を手に入れたの？　欲しいって言ってたよな？」と切り出した。Ｈ君は不気味なくらい不自然な笑顔で、「違うゲームをもらったんだよ」と白いカセットを指差した。ファイナルファンタジーIIではなく、そこにあったのはファンタジーゾーンII。

　ちなみにファイナルファンタジーIIは同年12月17日発売で、Ｈくんの親は素で間違えたんだろうなぁ……とそのとき悟った。「何これ？　オパオパの涙？　知らねぇ」友だちは笑っていたが……。なんだかすごく切なくなった小学生の思い出。

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