『思い出のファミコン』が本になりました
 

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ケルナグール ケルナグール
ナムコ
1989.7.21発売
©1989 GAME STUDIO INC. ©NAMCO LTD.

一歩ずつ強くなる楽しみ

 最初に友だちの家で見た第一印象は、「地味」でした。主人公は田舎に住むどこにでもいるようなひとりの男で、当時大人気のドラクエの憧れの勇者にはほど遠い主人公でした。

 さっそくプレー。マップを移動し敵と遭遇、今の格闘ゲ−ムのように必殺技などありもしないのですが、それよりも問題は……。主人公がなんと、ゲーム開始直後はへなちょこパンチただひとつしかできないということなのです(笑)!

 まさにドシロウトな主人公ですが、何度もパンチだけで賊を相手に修行し、キックやまわし蹴りを覚えたり、大陸のさまざまな場所に隠されたイベントをクリアすることでジャンプなどを覚えたり、一歩ずつ強くなる楽しみがありました。

 他メーカーのゲームの主人公と思われる、フリオニールの墓など、遊び心のあった作品でした。

寄稿:トーマスナイト 男 1981年生 千葉育ち 地方公務員


郷愁にかられ、思わず先日本体とともに購入

 単純にアクションRPGと呼んでいいのだろうか? それほどこのゲームには色々な要素が詰まっていた。

 普通のゲームにある、「○○を倒した。××G(お金)を手に入れた」の概念はない。いわば「おつかいゲーム」とも言える内容は、主人公がアイテムをひとつしか持てず、かの「わらしべ長者」のノリで話が進んでいく。その過程で技を覚えてスキルが上がるのだが、しゃがんである技を連発すれば大抵の敵に勝てるといった「ハメ」も存在して、それが逆に笑える。苦労して技を身につけなくても勝てるじゃん・・・。

 でも、僕は夢中になった。最初は手を前に出すしかできなかった僕の分身が、頭突きやジャンプも覚え、ジャッキー・チェン顔負けのアクションも身に付けていく。「最強の拳士を作りあげる」ことこそ、唯一の目的なのだ。

 結局、どんなに頑張ってもエンディングは訪れず(それもまた、笑える)、スタッフロールはパスワード入力しなければ見れないのだが、そんなのを関係なしに、没頭できたゲームだった。

 先日、思わず久々にやってみたくなり、苦労の末ファミコン本体と共に購入してしまった。コントローラーを手にしたいい大人は、あの時の少年の姿に戻っていた。

寄稿:サキノハカ 男 1977年生 兵庫育ち 会社員

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