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セクロス セクロス
日本物産
1986.5.15発売
©1986 NIHON BUSSAN CO.,LTD.

ふくらんだ妄想とゲームの現実

 このゲーム、初プレーは実は98年ころなので、正確には「思い出のゲーム」とはいえないかもしれない。だが、発売当時のゲーム雑誌の特集記事を食い入るように何度も何度も読み返し、こんなゲーム欲しい!と思ったのは本当だった。

 4色刷りのページには『セクロス』の面構成やシステム、キャラが画面写真と共に掲載されていた。まるで近未来SF映画のような無機質な画面写真に、「未来や科学のカッコ良さ」を勝手に読み取り、まるで本当に『セクロス』をプレーしてるかのように空想にふけった。

 その中でも特に、無機質な世界にあって妙に生物の生臭さを放つ敵キャラに強いインパクトを覚えた。地面からせりあがっては縮むキノコみたいな敵、メラメシュラとキングメラメシュラ。化石を壊すと出てくるタコみたいなボーナスキャラ。そして「恐竜戦車」……。当時小学生だった私の頭の中では、まだ見ぬ『セクロス』のキャラクターたちが縦横無尽に飛び回っていた。

 そしていつの間にか、あれほど欲しがっていた『セクロス』のことをすっかり忘れ、何年も後になって実物を入手。その内容と自分の妄想とのギャップに苦笑した。しかしそんな妄想もひとつの「思い出」かも、と思い直した。

寄稿:50円 男 1977年生 北海道育ち 会社員


高速スクロール面と低速スクロール面でゲームにメリハリ

 通常レースゲームでは、他の車に接触すると、相手はなんともないのにもかかわらず、自分だけクラッシュしてしまうということが多いが、このゲームでは敵を側壁や障害物に跳ね飛ばしてクラッシュさせることができる。もちろん、自分が跳ね飛ばされてクラッシュしてしまう危険もあるので、押し合いへし合いのデッドヒートが展開されるのだ。

 そうした敵とのつぶし合いが熱い高速スクロール面と、さらに交互に登場する低速スクロール面では、シューティングゲームの要素が強く、ルートの選択やショットのパワーアップなど、戦略面での工夫も必要で、ゲームが単調にならないようになっている。

 このゲーム、初めて知ったのは、たしかとある今は亡きゲーム雑誌上でだったと思うが、あの頃は誌面から得られる情報を最大限に頭の中で膨らませていたので、なんでもかんでも面白そうに思えてわくわくしていたものだ。物や情報が過多になってしまった現在よりも、ある意味では幸せだったのかもしれない。

寄稿:KK 男 1976年生 愛知育ち 自営業

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